3回シリーズでお送りしてきました「電子申告」も最終章となりました。
今回は、「日経新聞」1面にも大きく取り上げられました、政府が電子申告の利用者に税制優遇策などの導入を検討している、というその具体的な内容について、お話したいと思います。
●電子申告は普及してるの?
前号で、「電子申告」を行うための事前準備について、具体的に見てきました。前号をご覧頂いたみなさんの感想としては、「よし、うちの会社も電子申告してみよう!」という方よりも、「何だか面倒くさいなぁ。役所へ行って住基カードなんかを有料で取ってこないといけないし、そのカードの読み取り装置なんかも買わないといけな
し・・・・」と思われた方の方が多いのではないでしょうか。
それは数字にも表れています。日経新聞(5月8日)の記事によりますと、平成17年度の電子申告の実績は約11万2千件で、申告全体に占める割合は、わずか0.4%にすぎないそうです。11万2千件というのは多いような気もしますが、全体から見るとほとんど実践していないというのが現状のようです。
●他の国でも電子申告をやってるの?
電子申告を実施している国は、もろろん他にもたくさんあります。上記の日経新聞記事によると、アメリカでは個人の申告者の47%、フランスでは11%、そしてお隣りの韓国では実に75%が電子申告を行っているそうです。なぜここまで普及したのかというと、やはり税額の控除などのいろんなメリットを付加した結果のようです。
●政府によるテコ入れ案
政府は、行政・企業のIT化、商取引の電子化など、日本社会の総合的なIT化、いわゆるe−Japan構想を打ち出しており、この電子申告についても、2010年度までに全申告件数の50%を電子申告にもっていきたいという目標を掲げています。
ところが上記の通り、わずか0.4%しか電子申告をしていないという現状ではとても目標達成はおぼつかないということで、平成18年3月17日に、政府のIT戦略本部が「オンライン利用促進のための行動計画」というのを発表しました。その中で、電子申告利用者に対する様々な優遇策が盛り込まれました。主なものは以下の通りです。
1.税理士が関与している納税者は、代理人税理士の署名のみで申告することができる。
税理士の電子署名があればいつでも申告できるということです。
前号で、市役所に行き「住基カード」の取得と「電子証明書」の書き込みが必要、とお話しましたが、あるいはこの作業がいらなくなるかも知れません。ただ、納税者本人である事を示す何らかの認証は必要かと思います。
2.税理士が、申告書データに添付する書類を保管することで、添付書類別途送付がいらなくなる。
今までは、たとえ電子申告でも、従来申告書に添付していた領収書などの書類を別途税務署に送付する必要がありました。これを、税理士に添付書類の保管義務を課すことで、添付書類の送付を不要にする、というものです。完全に不要になるかどうかはまだわかりません。
3.税金の優遇策。
電子申告・納税の場合に、一定金額を税額控除する方式や、カード読み取り機などの購入をはじめとする必要経費を課税所得から差し引く、などの措置が検討されています。
4.電子申告・納税の受付時間を24時間にする。
平成18年分以降の所得税確定申告時期に限って、ということになるかもしれません。
5.還付にかかる時間を短縮する。
税金の還付について、電子申告した人には通常6ヶ月程度かかる処理期間を短縮し、3週間程度にする、というものです。
記内容は、あくまでも検討段階であり、今後どうなるかは分かりませんが、何らかのインセンティブがないと普及していかない、ということだけは事実ですので、おそらく上記のような具体案が正式決定していくのではないかと思います。 |